君をひたすら傷つけて

卒業という区切り

 私の受験が終わったのは卒業式を控えた頃だった。センター入試に始まり、私立を何校かと、国公立の受験も終わった。私立の結果は出たけど、まだ国公立の結果は出てない。これは卒業式の後に発表となる。高取くんに数学を教えて貰ったおかげで今のところ全部の学校で合格を貰っていた。

 そのどれもが家から通うことが出来るから、どの大学に行ったとしても毎日病室に通うことが出来る。そんなことを考えていた。

 私の生活の真ん中に病院にいる義哉と過ごすことに置かれている。受験も大事だったし、塾にも通っていたけど、それでも病院で義哉に会うことが私の支えになったのは間違いない。

 そして、一緒にいる時間が増える毎に私の中での義哉の存在が増していく。

「明日は卒業式だね。明日は友達と打ち上げとかするだろうから、出来れば明後日にここに来てくれる?」

「明日も来るよ」

「友達と会うのも大事だよ」

 義哉は優しい。でも、その優しさが時に私を苦しくする。


 卒業式の朝は少しの肌寒さは感じるけど、空には青が広がっていて、気持ちのいい日だった。教室に入ると受験期の鬱蒼とした雰囲気はなく卒業という一つの区切りに賑わっていた。私はというとみんなのように心から騒ぐ気にはならずに自分の席に座っていた。
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