君をひたすら傷つけて
 義哉は私のことをどう思っているのだろう。こうやって一緒にいてくれるし、私の好きという気持ちも受け止めてくれている。それでも私の中にある思いが暴走する。私はどこまでも子供で、私の思いを聞いた義哉は困ると思う。でも、どうしても譲れないものだった。

「私のこと好き?」

「うん。好きだよ。今の僕にとって雅との時間は大事だよ。僕に出来ることなんか少ないかもしれないけど、雅が思うことがあるなら叶えてあげたいよ」

 義哉は本当に優しい。でも、優し過ぎて悲しい。


「私の初めてを貰った欲しいの。私の初めては義哉がいい。花束も嬉しかった。でも、私はもっと欲しいものがある。私に義哉をちょうだい」

「それってどういう意味?」

「うん。今、義哉が思っていることと一緒だと思う。私の初めてを貰ってください」

 私の望んだことは義哉の一番近くに行きたいということ。キスだけでは足りなくてもっと傍に行きたいし、肌を重ねて義哉を感じたいと思った。私も義哉に未来があるならこんなことを自分から言い出すことはなかったと思う。自然の流れで肌を重ねることになったと思う。


 でも、時間は確実に流れていき、きっと義哉には時間が残されていない。

 自分がどんなにはしたないことを言い、どんなにか義哉を困らせているのか分かる。でも、それでも私は義哉が欲しかった。
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