君をひたすら傷つけて
 ギシギシと音を立てる階段を上りきったところでリズさんが微笑みを浮かべた。少し薄暗い廊下でも微笑んでいるのは分かる。そして、鍵を開けてから目の前のドアを開けてくれた。

「さあ、雅。ここが、雅と私とまりえの部屋よ」

 そんな言葉と共に開けられたドアから薄暗い廊下に光がぱぁーっと広がり、いきなりの眩さに目を閉じてしまった。ゆっくりと目を開けると玄関を入ってすぐから広がるリビングの一番奥には大きい窓があり、そこからオレンジ色の太陽の光が優しく部屋を満たしている。窓枠の中に絵画があるように見えた。

 古びた外観とは全く違う眩い空間があった。それは私の想像を覆した。
 
 廊下からリビングに広がる空間はオフホワイトのペンキが塗られてあり、リビングには大事に使われてあると思われる家具が並んでいる。そのどれもが新品ではなく経年した木の美しさがあるからだった。

 三人掛けの大きめのソファに木製のテーブル。それを挟むように大きめのソファとはまた違う面持ちの一人掛け用のソファがある。リネンで作られたカバーが掛けられており、派手さはないけど一生懸命に大事にされ手を加えられた部屋だというのを感じた。チェストも置いてあるし、レストテーブルもある。

 豪華ではないけど、大事にされた温もり溢れる空間だった。

 ドアの内と外では大違いだった。
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