君をひたすら傷つけて
 廊下からリビングを抜けると廊下から見えなかったところにキッチンが備えつけてあった。キッチンは綺麗に片付けられていて無駄なものがない。食器棚には少ないながらも綺麗に並べられている。キッチンのカウンターには可愛らしい花が活けてあり、ピンクの花が白の空間にとても可愛らしさを添えていた。

「廊下からリビング。そして、キッチンと続いているの。狭いからドアはないけどなくても困らないと思うわ。キッチンの奥の扉がトイレとバスよ。バスを使う時は声を掛けてね。ここは共同だから、掃除は気付いた人がするようにしているから協力してね」

「はい」

「それとここが雅の部屋。その横がまりえで、リビングを挟んで向かいの部屋が私の部屋よ。一応、鍵は掛かるから」

 リズさんは私の部屋になるはずの部屋のドアを開けたのだった。リビングの大きさに比べるととっても狭く、ベッドとチェストに本棚、それに机があるだけの簡単な部屋だった。奥にはクローゼットもあるようでその扉の前には私が日本から送った荷物の段ボールが置いてある。


 部屋は正直言って狭いと思う。でも、ここには勉強に来たのだから狭くてもいいし、寝るだけなら十分だと思った。シンプルで飾り気は全くないけど、逆に自分の好み通りに変えることも出来る。

「荷物ありがとうございます」

「いいのよ。受け取って部屋に入れただけだから」

 チェストの上にはキッチンに飾ってあった可愛い花と同じものが飾られていた。
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