君をひたすら傷つけて
「あの。お花はリズさんですが?」


「あれはまりえが雅の為にマルシェで買ってきたの。少しでも気持ちが癒されるといいなって言ってたけど、どう気に入った?まりえなりの歓迎の気持ちなんだと思うわ」


「はい。ありがとうございます。嬉しいです。それにとっても可愛いです」


「それはよかったわ。後でまりえに言ってあげて喜ぶわ。ちょっとまりえの部屋に行ってくるわ。体調がよさそうだったら紹介するからね。それとリビングのテーブルにコーヒーでも淹れてくるから、雅は荷物を置いてからすぐに出てきてね」

「はい」


「荷解きは明日以降にしましょう。明日手伝うわ」

 そういうとリズさんは私を部屋に残しリビングの方に行ってしまった。私はマットレスしかないベッドに座り、机の横にある窓から外を覗くと、パリの街並みが見えた。三階と言うのもあってか、窓から見せる光景はかなり綺麗で絵画的だった。そして、フランスに来たのだと実感する。


『義哉。凄いと思わない?私ね。フランスに来たのよ。語学留学だけど、それだけではなくて、色々なことを勉強したいと思っている。義哉の分もいっぱい勉強して、吸収してから義哉のいる日本に帰るから、それまでフランスの空の下。私のことを見ていてね。義哉が見れなかったものをいっぱい見てから日本に帰るからね』

 窓から見えるパリの夕暮れに私は心の中で呟いた。
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