君をひたすら傷つけて
「藤堂雅です。あの…お花ありがとうございます。それと大丈夫ですか?」

「気に入ってくれたならよかったわ。それと身体は大丈夫よ。単なる風邪なの。でも、季節の変わり目の風邪は治りにくくて…思ったよりも長引いているの。リズが元々持ってきた物好きな風邪だから性質が悪いのよ。だってリズに取りつくくらいですから」


 まりえさんはそういうとニッコリと笑う。確かに季節の変わり目の風邪は長引くという。だから、心配だった。華奢な体つきの彼女が身体が強いとは思えない。

 でも…。『物好きな風邪』って。まりえさんって見た目は清楚で可愛らしいのに言葉は変に隠したりしない真っ直ぐに言葉を言う。

「でも、その風邪を好んで貰うまりえも同類。雅。この清楚で可愛らしい外見に騙されてはだめよ。見た目は大和撫子みたいに可愛くて清らかだけど実際は頑固で自分の信念を曲げない女なんだから」

「あら、人聞きの悪いこと。リズに言われたくないわ。雅。リズのいうことは気にしないでね。リズは物事を誇張する癖があるのよ」

「化けの皮が剥がれるのも時間の問題。雅。まりえの本性を知ったら、二つに一つ。騙されたと思うか流石と思うか」

 そういってリズさんは私にニッコリと笑い掛ける。

「失礼しちゃうわ。私は普通の大学生なのよ。それも、今は風邪を引いているのに」
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