君をひたすら傷つけて
「忘れないうちに渡しておく。これは昨日、私の仕事を手伝ってくれた雅のバイト料よ。そんなにたくさんは入ってないけど貰ってくれる」

 そういうとリズは私の前に差し出したのだった。確かに、リズはバイト代を出すとは言っていたけどバイト代以上に素敵な体験をさせて貰ったし、それに困っている友達を助けるのにバイト代は必要ないと思った。

「いらない。リズは友達だから」

「それはだめ。これはビジネスよ。友達であってもお金のことはきちんとしないといけないわ。それに私も雅を大事にしたいと思うから貰って欲しい。これは正当な報酬よ」

 そういうと、リズは私に封筒を握らせた。

 私は大学に入ってからもバイトはしたことなくて、これが初めてのバイトになる。初めてのバイトなのに、こんな普段ではありえないような経験を出来てよかったと思う。それなのに私の手にはバイト料の入った封筒がある。申し訳ない気持ちと共にドキドキもした。


「ありがとう。リズ。大事に使う」

 私がそういうとリズはニッコリと微笑んだのだった。

「雅は真面目過ぎるから服でも靴でも買ってぱーっと使ったら?昨日のコレクションの物だったら貰ってこようか?」

「いいよ。あんなに素敵なのはもう少し大人になってから」

「そうね。うーん。ちょっと胸元が寂しいかも」

「酷い。リズ」

「ゴメン。素直に言ってしまった」

「それの方が酷い」
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