君をひたすら傷つけて
「どうかしたの?なんか手伝うことがあるのなら手伝うよ。部屋から持ってくるとか?」

 いつもパソコンに打ち込んでいる時は真剣で話したりしないリズが向ける真剣な瞳にドキッとしてしまった。美女という言葉が相応しいリズの真剣な顔は迫力あったりする。そしてその真剣な表情は私を緊張させる。

「今、いきなり思いついたんだけど正式に私のアシスタントとしてフランスで仕事をしてみない?語学留学が一年だと言うのは知っているけど、雅の才能は勿体ない。
 語学留学の後、そのまま残ってほしい。日本の大学は休学することになるかもしれないけど本格的にこっちでファッション系の学校に行くのもいい。これからのことは私が責任を持つから」


 リズの言葉はあまりにいきなり過ぎる。リズは仕事に誇りを持っているのを肌で感じていたからこんなことを言われるとは思ってなかった。

「それって本気なの?」

「本気よ。今からの生活とファッションの学校に行く資金は私の所で働けばどうにでもなる。私の所で修業してみない?」

 大学には後少しで復学をしないといけない。ファッションの仕事は正直好きだった。でも、大学を休学してまで残る勇気はなかった。でも、リズの表情は真剣そのもので冗談を言っている風には見えない。

 ファッションの仕事は好き。コレクションの張り詰めた雰囲気も雑誌の撮影の緩やかさの中にある鋭さも好きだった。だからと言って、大学を休学してファッション系の学校に行くというのはあまりにも突飛過ぎる。即答出来る問題でもない。

「驚いた。リズがそんなことを思っているなんて」
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