君をひたすら傷つけて
 自分のベッドに潜り込みどのくらい寝返りを打っただろう。何度も身体を動かしながら天井を見上げるとさっきのリズの言葉が頭の中に蘇る。

「私はどうしたいのだろう?あまりにも突然過ぎて心が付いていかなかった」

 そんな呟きを漏らしながら寝返りを打つ。リズの提案は普通の女の子ならすぐに断ると思う。でも、私はすぐに断らなかったのは私がファッションの仕事が好きだということもあるけど義哉のことがあったからだと思う。

 心の奥底に今も義哉がいる。

 目を閉じるとまるで昨日の事のように義哉のことを鮮明に思い出す。義哉は新しい世界を見ることなくこの世を去った。でも、私は今もまだ生きている。ベッドの上で真っ直ぐに未来を見つめていた義哉を思うと目の前に開かれた未来があるというのに、それを自ら閉じるというのはどうなのか考えてしまう。

 もしも、今、義哉は傍に居たらどんな風に私に言葉を零すのだろう?日本に帰っておいで』というのか?それとも…『自分の手で未来を切り開く』ようにというのか分からない。

 でも、一つだけ言うと思うのは。『雅の決めたことを僕は応援する。』と言ってくれると思う。私が選んだ道を最大限応援してくれると思う。

 義哉のことを考えていると急に義哉が恋しくなる。
 
 私は今も義哉が一番好き…。
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