君をひたすら傷つけて

　着替えを終わらせてリビングに戻るとまりえは私のためにカフェオレと小さなサンドイッチを用意してくれていた。ジャムを挟んだだけの小さなサンドイッチだけど、その思いやりが嬉しかった。ジャムの甘さがまりえの優しさだった。真っ白なお皿に私が食べる分だけを置いてある。多すぎもせず、少なすぎもせず…そんな量。

「美味しい」

「このブルーベリージャムは美味しいわよね。私も食べ過ぎそうよ」

「まりえは細いから食べ過ぎぐらいでちょうどいいんじゃない？」

「食べた分が胸に全部なるなら食べるけど。さすがにね」


　そう言ってまりえはクスクス笑う。まりえのことを私は大好きだった。

　リズと毎日のように一緒に仕事をして、クタクタになった私たちをまりえは優しい思いやりで迎えてくれる。そして、今日もリズに怒られて帰ってきた私を温かく迎えてくれたのだった。お腹は空いてないのに、サンドイッチを一つ口に入れるとその甘さに涙が出そうだった。

「今日はどこで撮影だったの？」

「スタジオだったわ。それが終わると郊外に出るみたい。でも、私は行けるか分からないの。今日もダメだった」

「なんで？」

「リズが物凄く怒っているの。アシスタントとして全く役に立たない私は連れて行って貰えないかも」