君をひたすら傷つけて
 最初はリズの手伝いのアシスタントだったけど、私はこのスタイリストの仕事が好きで出来ればずっと続けて行きたい。それにいつかはリズのようにコレクションのスタイリストを任されるようになりたい。思うだけではまだ先は長く険しい。

 知識は習い、実際のアシスタントをするスタジオで日々研鑽という感じ。リズに薦められるままに入学したけど、同級生はレベルが高い。講師も充実しているし、実際に生徒をしながらも既に自分の事務所を持っているスタイリストやデザイナーもいる。

ここで習ったことを実際のスタジオで磨いていると言う感じ。入った後にわかったことだけど、この学校のレベルはかなり高い。講師も充実しているし、その中には今も一線で活躍しているスタイリストやデザイナーもたくさんいる。恵まれていると思う。

 お兄ちゃんは重厚な門を抜けて学校に入ると、クルリと見回し、満足そうに笑う。

「ここで雅が勉強しているんだね。思ったよりも広い。学校内に入れるか?」

「一緒なら大丈夫だと思う」

「凄いな」

 お兄ちゃんは私がよく勉強している講義室に入るとゆっくりと講義室の中を見て回る。一つ一つ何かを確かめるように歩いている。

「リズに薦められたから入った学校だったけど、ここでよかった」

「雅が語学留学した時はクラスに何人かの日本人がいたと思うけどデザイン系の学校には日本人が居ないから大丈夫かと心配していたんだ。一人でも寂しくないのか?」

「友達いるよ」

「それはそうだけど、心配なものは心配だった。実際に見れて少しホッとしたよ」
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