君をひたすら傷つけて
私の問いにお兄ちゃんの顔が少し緩んだのに気付いた。お兄ちゃんにとってこんな風に優しい顔をさせるのは義哉以外に居ないと思っていた。でも、義哉以外にこんな顔をさせる篠崎海に少しの嫉妬心が芽生える。だけど、お兄ちゃんは心血を注げる人がいるというのに安心もする。
少なからず心の奥底が焦げるような嫉妬心を芽生えさせる。そんな私の前でお兄ちゃんは『篠崎海』のことを話し続けていた。お兄ちゃんは私が妬いているなんて思ってない。
「真面目で一生懸命。仕事に情熱を燃やし、思いやり溢れる男かな。モデルとしても一流だし、俳優としても一流になる」
お兄ちゃんの言葉に唇を噛む私がいる。自分の中のモヤモヤをどうしていいのか分からない。
「それって完璧?そんな人いるの?」
「いるよ。そうだな。海は顔もスタイルも申し分ないし、演技力も若手では飛び抜けている。将来有望だし、日本の映画界をしょって立つようないい俳優になるよ」
「お兄ちゃんがそんな絶賛するってことは凄い人なのね」
「海の一番凄いところは、自分のことを凄いと思ってないところかもしれない。撮影現場で急に大道具の手伝いをしようとしたりするから驚く。それがとっても自然なんだ。本人曰く、俳優も大道具も同じ撮影をする大事な仲間なんだってさ。あれだけ綺麗な顔をして平然というから海のことをどうにか支えたいと思う」
お兄ちゃんも私のように義哉を失って胸の奥に大きな穴が開いている。それを少しでも埋めてくれるものがあるならば嬉しい。
顔しか知らない彼『篠崎海』は…お兄ちゃんの悲しみを全部埋めるくらいに優しいのだろう。
少なからず心の奥底が焦げるような嫉妬心を芽生えさせる。そんな私の前でお兄ちゃんは『篠崎海』のことを話し続けていた。お兄ちゃんは私が妬いているなんて思ってない。
「真面目で一生懸命。仕事に情熱を燃やし、思いやり溢れる男かな。モデルとしても一流だし、俳優としても一流になる」
お兄ちゃんの言葉に唇を噛む私がいる。自分の中のモヤモヤをどうしていいのか分からない。
「それって完璧?そんな人いるの?」
「いるよ。そうだな。海は顔もスタイルも申し分ないし、演技力も若手では飛び抜けている。将来有望だし、日本の映画界をしょって立つようないい俳優になるよ」
「お兄ちゃんがそんな絶賛するってことは凄い人なのね」
「海の一番凄いところは、自分のことを凄いと思ってないところかもしれない。撮影現場で急に大道具の手伝いをしようとしたりするから驚く。それがとっても自然なんだ。本人曰く、俳優も大道具も同じ撮影をする大事な仲間なんだってさ。あれだけ綺麗な顔をして平然というから海のことをどうにか支えたいと思う」
お兄ちゃんも私のように義哉を失って胸の奥に大きな穴が開いている。それを少しでも埋めてくれるものがあるならば嬉しい。
顔しか知らない彼『篠崎海』は…お兄ちゃんの悲しみを全部埋めるくらいに優しいのだろう。