君をひたすら傷つけて
「これは着れない」

 勝負下着って本当に必要無い気がする。

 リズの用意した下着は真っ白でブラの胸元には大きなシフォンのリボンがあり、どう見ても、これを解けば全開になるような仕組みだし、下も横は同じシフォンのリボンで結わえるタイプの紐パンだった。形だけ見ると可愛いのに勝負下着だというだけある。こんなのを着た自分が想像できない。

「今日は帰って来ないのでしょ?」

「帰ってくるよ」

「アルベールの部屋に行くんじゃないの?」

「一緒に食事をするだけだし。いつもと変わらないわ」

「でも、好きって言われて、今日会うんでしょ。じゃあ、アルベールと朝までコースじゃないの?」

 朝までコースって…。昨日からのリズの張り切り様の理由が分かったような気がした。

「友達と食事に行くのに、勝負下着は必要ないわ」

 私がそういうと、リズとディーさんはあからさまにガッカリした。

「でも、このサイズの下着は私には合わないから雅が持ってて。いつか素敵な人と夜を過ごす時に使ってね。アルベール・シュヴァリエの趣味が分からないけどこの手のタイプの下着は人気があると思うの」

「彼が妖艶なのが好みなら赤か黒を私がプレゼントするよ」

「とりあえずワンピースに着替えてくる」

 リズとディーさんの言葉を聞いていると頭がクラクラしてきた。
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