君をひたすら傷つけて
「楽しみね」
「ええ」
「アルベールの担当したい?」
「え?」
「ディーも雅がしてもいいって言ってたわ」
「ううん。私はまだ未熟よ。だから、コレクションのラストはまだ早い」
「そうなの?」
「ええ。自分のことは自分で分かっている。自分に自信がついたら、私がさせてほしいと言うから」
「それを楽しみに待っている」

 週末のコレクションが楽しみになった。リズのアシスタントで緊張はするけど、アルベールの姿を見ることが出来る。仕事場で会うこともあるけど、お互いに仕事に徹しているから仕事をしている間は全く話さない。でも、休憩時間は一緒に過ごす。

 一緒に居ることが多いから、私とアルベールは公認の仲だった。だから、ディーも私にと話をくれたのかもしれないけど、私はそんな甘えた関係は望まない。きっとアルベールも望まないだろう。

 念入りな打ち合わせが毎日行われる。今回のコレクションはどちらかというと小規模なもので、ワインでも楽しみながらのコレクションだった。それでも、ディーの最新ファッションが公開されるのでチケットは普通では手に入らない。

「雅が担当してくれたら良かったのに」

 そうアルベールが言ったのはコレクションのリハーサルの時だった。最終までの打ち合わせはモデル個別に終わらせ、前日にリハーサルが行われる時にだけコレクションに参加する人が全員集まる。私は他のモデルの担当だったから、リハーサルまでアルベールに会うことはなかった。
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