君をひたすら傷つけて
「おかえり。雅。雑誌の撮影はどうだった?」
「一応、順調に終わったわ。来月の発売には間に合うと思う。小物が届くのが遅くて少し焦ったけど大丈夫だった」
「前の日に準備していたんじゃないの?」
「急に色合いがもっと違うのって言われて、あちらこちらを探したの。結局、別のスタイリストの私物を借りたの」
「色はその時のライトの具合とかあるから、デザイナーが居たの?」
「うん。撮影が気になるって来て、拘りが強い人だったけど、おかげでいいものが出来た気がする。リズは難しい顔してどうしたの?仕事のこと?」

「ええ。そうなの。うまくスケジュール調整が出来ないあkらどうしようかと思って。どうしても一日足りない。どうして、一日に時間は24時間しかないのかしら。私は忙しいんだから、48時間くらいあったらいいのに」

 仕事を器用にこなしているリズにしては珍しいセリフで驚いた。いつもはこんなに忙しいのに、いくつもの仕事を同時にこなしている。そんなリズの姿を見ていただけに、こんなにも深く皺が刻まれるのに驚いたというのが先だった。

「何があったの?」
「日本で大事な仕事があるけど、同じ日にフランスで大事なコレクションがある。ディーのコレクションなの。この前のコレクションの追加公演。これだけは外せない」

「同じ日なの?日本の方はどうにかならないの?」
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