君をひたすら傷つけて
「荷物は片付いたのか?」
「うん。そんなに持ってきてないし」
「じゃあ、今日は片付けだけ?」

「義哉に会ってきた。お墓に綺麗な花が供えられていたけどお兄ちゃんが行ったの?」

「ああ。昨日。雅を迎えに行く前に」

 やっぱり義哉のお墓にお花を手向けたのはお兄ちゃんだった。あれから五年経った今でも、義哉に会いに行っているのだと思う。お兄ちゃんは前に進めているのだろうか?

「義哉に色々話していたら、結構時間が過ぎていて驚いた。でも、ずっと会いに行きたかったからよかった」

「そっか。ありがとうな。義哉も喜ぶよ」

 そんな話をしていると、次々に料理が運ばれてくる。どれもこれも美味しそうで、見た目にも綺麗な料理がテーブルの上に並んでいく。

「美味しそう。お兄ちゃんは飲まないの?この店、日本酒とかいっぱいあるのに」
「ああ。今日は車だし。飲むのは今度にしよう。で、明日から本格的に仕事に入るのか?」

「明日は顔合わせ程度でこれからのスケジュールとかも調整することになると思う。一緒に働く人はリズのアメリカの時からの友達でエマ・ジョンソンという女の人。リズと一緒にスタイリストの会社を立ち上げるから、私はその手伝いよ」

「しばらく忙しくなりそうだな」
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