君をひたすら傷つけて

「お疲れ様。雅のお蔭で書類にサインすることが出来たわ。これで日本で本格的に仕事を始められる。でも、少し時間が掛かるのね。でも、登記出来次第に仕事を始める準備に入らないと」

「役に立てたならよかった」

「雅がいてくれて助かったわ。それとエマさんというのは止めてくれる？エマでいいから」

「エマ…」

「そうよ。それでいいわ。一緒に頑張る仲間だから」

　そんな話をしながら笑い合っているとリビングの方のドアが開くとひょいとまりえが顔を覗かせ、さらりと黒髪が揺れた。

「終わったならお茶にしよう？緊張して喉がカラカラなの」

「お茶よりもいいものがあるわ。昨日の夜に冷蔵庫にシャンパンを入れたあるのよ。一応書類作成終了のお祝いだしシャンパンにしましょ」

　そんなエマさんの言葉にまりえはニッコリと笑う。

「グラスを用意するから、雅、手伝って」

　三人でシャンパンをお昼から傾けた日。これは私にとって大事な一日になった。