君をひたすら傷つけて
「雅。早いな」
「窓から見たらお兄ちゃんの車が止まっているんだもの。着いたら連絡してくれたらいいのに」
「まだ、約束の時間には時間があったからな。どこに行く?」
「まずは義哉のとこに行きたい」
「雅は変わってないな」
日本に帰ってきて二週間が過ぎていた。帰国してすぐに義哉に会いに来て、また今日も義哉に会いに行く。途中の店で花を買って一緒にお兄ちゃんと歩く。こんな風にお兄ちゃんと一緒に義哉に会いに行くのは久しぶりだった。時間は確かに流れているのに、あの時に戻ったような気がして、気持ちは引き戻される。
「変わらないよ。私は私だもの」
横を歩くお兄ちゃんは花の入ったバケツを持つと、私の横を静かに歩いている。私が悲しんだ時間と同じ時間だけお兄ちゃんも悲しんでいる。幼い時からずっと守ってきた大事な弟の死は優しい微笑みの下でどれだけの涙を流させたのか私は知らない。
お兄ちゃんが居て、私が居る。それが全てだった。
「お兄ちゃんは好きな人とかいないの?」
「気になるか?」
「もし彼女がいるなら、こんな風に出掛けるのは悪いと思って」
「雅は心配するような相手はいない。」
スーツを脱いだお兄ちゃんはいつもとは違って穏やかさを纏っている。穏やかな雰囲気のお兄ちゃんを見るとどんな女の人でも好きになってしまうのではないかと思う。煌びやかさはないけどお兄ちゃんは格好いいと思う。しなやかなスッとした佇まいは目を惹く。
「付き合っている女性がいたとしても雅には会いに来るよ。俺にとって雅は特別だから」
「窓から見たらお兄ちゃんの車が止まっているんだもの。着いたら連絡してくれたらいいのに」
「まだ、約束の時間には時間があったからな。どこに行く?」
「まずは義哉のとこに行きたい」
「雅は変わってないな」
日本に帰ってきて二週間が過ぎていた。帰国してすぐに義哉に会いに来て、また今日も義哉に会いに行く。途中の店で花を買って一緒にお兄ちゃんと歩く。こんな風にお兄ちゃんと一緒に義哉に会いに行くのは久しぶりだった。時間は確かに流れているのに、あの時に戻ったような気がして、気持ちは引き戻される。
「変わらないよ。私は私だもの」
横を歩くお兄ちゃんは花の入ったバケツを持つと、私の横を静かに歩いている。私が悲しんだ時間と同じ時間だけお兄ちゃんも悲しんでいる。幼い時からずっと守ってきた大事な弟の死は優しい微笑みの下でどれだけの涙を流させたのか私は知らない。
お兄ちゃんが居て、私が居る。それが全てだった。
「お兄ちゃんは好きな人とかいないの?」
「気になるか?」
「もし彼女がいるなら、こんな風に出掛けるのは悪いと思って」
「雅は心配するような相手はいない。」
スーツを脱いだお兄ちゃんはいつもとは違って穏やかさを纏っている。穏やかな雰囲気のお兄ちゃんを見るとどんな女の人でも好きになってしまうのではないかと思う。煌びやかさはないけどお兄ちゃんは格好いいと思う。しなやかなスッとした佇まいは目を惹く。
「付き合っている女性がいたとしても雅には会いに来るよ。俺にとって雅は特別だから」