君をひたすら傷つけて
それは私も一緒だった。お兄ちゃんは私にとって特別な人だった。義哉が亡くなって七年経ったけど、今でも私を心配し見守ってくれている。
「お兄ちゃんは特別よ」
梅雨の合間のお昼。
広い墓地には誰も居なくて、私とお兄ちゃんの足音だけが響いている。二人の足音が止まったのは義哉のお墓の前だった。彫られた名前を見るだけできゅっと胸が痛くなる。そっと手を伸ばして墓石に触れるとひんやりとした冷たさを感じた。
「義哉」
一番好きだった人の名前を呟くと優しい笑顔が脳裏に浮かぶ。時間が経っても少しも色褪せることなく私を魅了し続ける。目を閉じると義哉の思い出が私の中に蘇ってきて、涙が零れそうになった。まだ、私は義哉に恋をしている…。永遠に続くのかもしれないとも思う。
私の横にお兄ちゃんは跪くと、花を活けていく。そして、ゆっくりと水を掛けた。手を合わせてお兄ちゃんも義哉と話している。私が義哉と話したいようにお兄ちゃんも義哉と話したいのだろう。
私の大事な人はお兄ちゃんにとってはかけがえのない弟。何を思い、何を話しているのだろうか。そんなことが気になった。
「そろそろ行こうか?」
そう言ったのはお兄ちゃんだった。
「お兄ちゃんは特別よ」
梅雨の合間のお昼。
広い墓地には誰も居なくて、私とお兄ちゃんの足音だけが響いている。二人の足音が止まったのは義哉のお墓の前だった。彫られた名前を見るだけできゅっと胸が痛くなる。そっと手を伸ばして墓石に触れるとひんやりとした冷たさを感じた。
「義哉」
一番好きだった人の名前を呟くと優しい笑顔が脳裏に浮かぶ。時間が経っても少しも色褪せることなく私を魅了し続ける。目を閉じると義哉の思い出が私の中に蘇ってきて、涙が零れそうになった。まだ、私は義哉に恋をしている…。永遠に続くのかもしれないとも思う。
私の横にお兄ちゃんは跪くと、花を活けていく。そして、ゆっくりと水を掛けた。手を合わせてお兄ちゃんも義哉と話している。私が義哉と話したいようにお兄ちゃんも義哉と話したいのだろう。
私の大事な人はお兄ちゃんにとってはかけがえのない弟。何を思い、何を話しているのだろうか。そんなことが気になった。
「そろそろ行こうか?」
そう言ったのはお兄ちゃんだった。