君をひたすら傷つけて
お互いに長く一緒に住んでいるのにこんな風に一緒のベッドに入ったのは初めてだった。
同じボディシャンプーの香りがする。そんなことを思いながらベッドに入るとゆっくりとリズの腕が私に伸びてきてスッと抱き寄せる。しなやかな筋肉は簡単に私の身体を自分の方に引き寄せた。心も身体も今は女の人のリズだけど、元々は男の人。腕の筋肉のしなやかさは男の人だったころの名残なのかもしれない。
逞しい腕を感じたと思ったら、すぐに私はふくよかな胸に包まれ、規則的な鼓動が私を安心させる。
「起きたら戦闘開始よ。泣いている暇はないわ。高取さんの気持ちは分からないけど、雅を大事に思っていることは間違いないから、そんなに泣く必要ないわ。二人で今から新しい関係を築けばいいでしょ。彼はお兄ちゃんではないわ。これからは一人の人間として付き合って行けばいい」
「一人の人間?」
「そう。一人の人間として。雅も『義哉くんのお兄ちゃん』でなく、これから仕事で関わっていく『高取慎哉』としてみれば次第に関係も変わっていくと思うわ。別に何をする必要もないわ。雅はただ雅でいい」
リズの言っている意味は分かるような分からないような気がした。お兄ちゃんは出会った時から『義哉のお兄ちゃん』で私にとっては『義哉を愛する同士』でもあった。そんなのを全部なしにしたら…お兄ちゃんはどんな人なのだろう。
同じボディシャンプーの香りがする。そんなことを思いながらベッドに入るとゆっくりとリズの腕が私に伸びてきてスッと抱き寄せる。しなやかな筋肉は簡単に私の身体を自分の方に引き寄せた。心も身体も今は女の人のリズだけど、元々は男の人。腕の筋肉のしなやかさは男の人だったころの名残なのかもしれない。
逞しい腕を感じたと思ったら、すぐに私はふくよかな胸に包まれ、規則的な鼓動が私を安心させる。
「起きたら戦闘開始よ。泣いている暇はないわ。高取さんの気持ちは分からないけど、雅を大事に思っていることは間違いないから、そんなに泣く必要ないわ。二人で今から新しい関係を築けばいいでしょ。彼はお兄ちゃんではないわ。これからは一人の人間として付き合って行けばいい」
「一人の人間?」
「そう。一人の人間として。雅も『義哉くんのお兄ちゃん』でなく、これから仕事で関わっていく『高取慎哉』としてみれば次第に関係も変わっていくと思うわ。別に何をする必要もないわ。雅はただ雅でいい」
リズの言っている意味は分かるような分からないような気がした。お兄ちゃんは出会った時から『義哉のお兄ちゃん』で私にとっては『義哉を愛する同士』でもあった。そんなのを全部なしにしたら…お兄ちゃんはどんな人なのだろう。