君をひたすら傷つけて
リズが起きたら戦闘開始と言っていたのは間違いではなかった。起きたのはリズよりも少し後だったのではないかと思う。ベッドには私しか居なかったけど、リズの寝ていた辺りは少し温もりが残っている。リズは起きてからそんなに時間は経ってない。私もベッドから身体を起こすと一瞬こめかみに痛みを感じた。

 昨日、泣いた名残だった。ゆっくりと自分の目蓋に指を当てると少しぽってりとしている気もする。タオルで冷やした方がいいかもしれない。そんなことを考えながらリビングに行くと、リビングは窓全開にされ風が部屋の中に入ってきている。爽やかな空気がリビングを満たしていた。

 リズはリビングではなくダイニングのテーブルに座り、パソコンを打っている。シャワーを浴びたばかりなのだろうか、髪は濡れたままで肩にはタオルを掛けてあるけど、仕事を既に始めているようだった。

「おはよう。早いね」

「うん。昨日、こっちに来たのを今、連絡したからエマに会いにオフィスに行かないといけないわ。雅も一緒に行って貰うから早く用意して。それと昨日の篠崎海のスタイリングの話だけど、この事務所で受けた初めての仕事になるから失敗は出来ないから」

「分かってる。シャワーを浴びて来ていい?」

「そうね。気合いを入れて来て」

 
< 569 / 1,105 >

この作品をシェア

pagetop