君をひたすら傷つけて
「ありがと」

「それ、貸して」

 高取くんは私の持っていたプリントを取ると教室に向かって歩き出した。その小さな紙を大事にポケットに入れると、前を行く高取くんの後姿を追った。

「私が持つよ」

「こういうのは男の仕事だよ」


 そう言う高取くんにまたドキドキが止まらなくなった。そして、この廊下がずっと続けばいいと思った。

 教室に戻ってからすぐに始業のチャイムが鳴る。勉強に力を入れないといけないのに私の神経は横に座っている高取くんに向かってしまう。こんなことではいけないと思うけど、高取くんが気になって仕方ない。

「それではこれでホームルームを終わります。風邪が流行っているので無理はしないように」


 そんな言葉を残して先生が教室を出て行くとさやかが私の席の所に来た。高取くんと一緒に買い物に行くことを言ってなかったから、今日も一緒に帰るものだと思い、私の席に来たのだった。さやかをチラッと見て高取くんは自分の荷物の準備を終わらせると私にニッコリ笑い掛けたのだった。


「藤堂さん。終わったらメールしてくれる」


「う、うん」


 そういって教室を出て行った高取くんの後姿を見て、さやかが目を丸くしていた。私でもついていけない急展開なのだから、何から話していいかさえ分からない。


「どういうこと?」


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