君をひたすら傷つけて
「海も雅がいいスタイリストとして認めているから紹介するんだよ。実際に雅の選んだ服は上質なだけでなく動きやすいと海が言っていた。身体のラインを崩さないように着せるだけの服はたくさんあるけど、着心地を考えている上でのスタイリングが出来るのは雅だからだよ。もっと、自信を持て」
そういってクスクス笑い、もう一度背中をポンポンと撫でるのだった。こういう時にお兄ちゃんの中で私が成長しているのだろうかと心配にもなる。初めて会った時が高校生だったからいつまでたってもお兄ちゃんの中では私は高校生の女の子なんだろうと思う。もう制服を脱いで何年経っていると思うのだろうか?
そんなことを言いたくなるくらいに子ども扱いというのが私とお兄ちゃんの距離だった。心地よくてこの関係を壊したくないと思っていた。
そして、この関係だからこそ、こんな風に一緒のマンションに住むことが出来る。この関係が壊れるとしたら、それはお兄ちゃんに彼女が出来た時だと思う。私はもう恋をするつもりはないので、この優しい関係を終わらせるスイッチはお兄ちゃんの手の中にある。
でも、今のところ使われる気配はない。
私が知る限り、お兄ちゃんにモテないという要素はない。客観的に見て、容姿は悪くないし、仕事も出来る。博識で温厚。一つだけ問題があるとすると、篠崎海に入れ込み過ぎなところだと思う。仕事では冷徹とか言われていたお兄ちゃんにとって篠崎海はただ唯一の例外だった。
そういってクスクス笑い、もう一度背中をポンポンと撫でるのだった。こういう時にお兄ちゃんの中で私が成長しているのだろうかと心配にもなる。初めて会った時が高校生だったからいつまでたってもお兄ちゃんの中では私は高校生の女の子なんだろうと思う。もう制服を脱いで何年経っていると思うのだろうか?
そんなことを言いたくなるくらいに子ども扱いというのが私とお兄ちゃんの距離だった。心地よくてこの関係を壊したくないと思っていた。
そして、この関係だからこそ、こんな風に一緒のマンションに住むことが出来る。この関係が壊れるとしたら、それはお兄ちゃんに彼女が出来た時だと思う。私はもう恋をするつもりはないので、この優しい関係を終わらせるスイッチはお兄ちゃんの手の中にある。
でも、今のところ使われる気配はない。
私が知る限り、お兄ちゃんにモテないという要素はない。客観的に見て、容姿は悪くないし、仕事も出来る。博識で温厚。一つだけ問題があるとすると、篠崎海に入れ込み過ぎなところだと思う。仕事では冷徹とか言われていたお兄ちゃんにとって篠崎海はただ唯一の例外だった。