君をひたすら傷つけて
「それは何ですか?」

「アクセサリーよ。指輪は篠崎くんから貰ったものでもいいけど、ネックレスはどうするのかなのよ。本当なら篠崎くんと一緒に買いに行けばよかったけど、今回は私の準備したもので我慢してね」

 テーブルの上に並べたアクセサリーは全部本物でコレクションに使うものもあれば、撮影に使うものもある。そして、一番多いのはリズの私物だった。

「これって?」

「そうよ。全部本物よ。だって本物でないと里桜ちゃんの価値を下げちゃうわ。個人的には真珠とかおすすめだけど、里桜ちゃんの指輪を見ていたら、やっぱりダイヤがいいかな」

 今回の結婚式のことをリズに相談すると、リズは自分の部屋の金庫の中から、いくつもの箱を取り出してテーブルの上に置いた。そして、私にどんなドレスに合わせるか、どんな雰囲気の女の子かを聞き出してきて、選んだのがこの袋に入ったものだった。

『そのリベンジを成功させたいってことね。それなら、絶対に本物がいいわ。好みがあるから一概には言えないけど、結婚式なら真珠とかだけど、その里桜ちゃんの元カレが度肝を抜くにはダイヤのネックレスとかがいいかも。エンゲージリングの色に合わせるのもいいけど、実際のものを見ないと何ともいえないわね』

 リズの言葉に間違いはなかった。準備をし終わった里桜ちゃんにはやっぱり本物がいい。真珠の連なったネックレスか、繊細なプラチナにピンクダイヤをあしらったものが一番いいように思う。これなら篠崎さんが里桜ちゃんに贈ったエンゲージリングと色合いも似ているし、負けない華やかさがある。

 ただ、リズの私物の中では比較的おとなしいデザインだった。
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