君をひたすら傷つけて
お兄ちゃんから連絡が来たのはマンションから出ていって、数時間が経った頃のことだった。私は言われたとおりに寝るつもりで軽く食事をして、シャワーを浴びて、ベッドに入ったけど色々なことが気になって中々寝付くことが出来なかった。
お兄ちゃんからの電話をワンコールで取ると、電話の向こうでお兄ちゃんの疲れた声が響いていた。何かあったのは声色で分かる。
『雅、悪いが、俺が帰ってくるまで起きていてくれるか?大事な話がある』
『それはいいけど、篠崎さんは大丈夫?』
『話せば長くなるから、帰って話す』
『うん。分かった』
私はパジャマから普段着に着替えると、リビングにいき、コーヒーをセットした。お兄ちゃんの話はきっと長くなる。少しでも落ち着いて話しをするためにはコーヒーが必要だった。
リビングにコーヒーの香りが立ち始めた頃、玄関の鍵が開く。
「お兄ちゃん。大丈夫?」
「少し面倒なことになって、結局、里桜さんに助けられる形になった」
マンションに戻ってきたお兄ちゃんはこの数時間の間に起きたことを全て話してくれた。篠崎さんと里桜ちゃんが予想通りに結婚式に出席して直ぐに帰ってきたこと。その後、焼肉を食べに行ってマスコミに写真を撮られたこと。
「でも、篠崎さんが焼肉を食べに行って撮られるなんて」
芸能人御用達のその焼肉店はセキュリティの観点から芸能人だけでなく、政財界の人も使うような店だった。一般人の里桜ちゃんのことを守るための店だったはずなのに、店を出てすぐに撮られたとなると……。
普通ではない。人の思惑が動いている。
「確証はないが、撮影が終わったタイミングから考えて、海が嵌められたとしか思えない。里桜さんと一緒に撮られたにしては準備が良すぎる。明日の週刊誌には記事が載る」
数時間前に撮られて、明日の発売の週刊誌に載るにしては時間が余りにもない。普通に考えて、既に記事は出来ていて、写真だけを差し込むようにしてない限り無理だった。そして、そんな執拗なことをするのは限られる。
お兄ちゃんからの電話をワンコールで取ると、電話の向こうでお兄ちゃんの疲れた声が響いていた。何かあったのは声色で分かる。
『雅、悪いが、俺が帰ってくるまで起きていてくれるか?大事な話がある』
『それはいいけど、篠崎さんは大丈夫?』
『話せば長くなるから、帰って話す』
『うん。分かった』
私はパジャマから普段着に着替えると、リビングにいき、コーヒーをセットした。お兄ちゃんの話はきっと長くなる。少しでも落ち着いて話しをするためにはコーヒーが必要だった。
リビングにコーヒーの香りが立ち始めた頃、玄関の鍵が開く。
「お兄ちゃん。大丈夫?」
「少し面倒なことになって、結局、里桜さんに助けられる形になった」
マンションに戻ってきたお兄ちゃんはこの数時間の間に起きたことを全て話してくれた。篠崎さんと里桜ちゃんが予想通りに結婚式に出席して直ぐに帰ってきたこと。その後、焼肉を食べに行ってマスコミに写真を撮られたこと。
「でも、篠崎さんが焼肉を食べに行って撮られるなんて」
芸能人御用達のその焼肉店はセキュリティの観点から芸能人だけでなく、政財界の人も使うような店だった。一般人の里桜ちゃんのことを守るための店だったはずなのに、店を出てすぐに撮られたとなると……。
普通ではない。人の思惑が動いている。
「確証はないが、撮影が終わったタイミングから考えて、海が嵌められたとしか思えない。里桜さんと一緒に撮られたにしては準備が良すぎる。明日の週刊誌には記事が載る」
数時間前に撮られて、明日の発売の週刊誌に載るにしては時間が余りにもない。普通に考えて、既に記事は出来ていて、写真だけを差し込むようにしてない限り無理だった。そして、そんな執拗なことをするのは限られる。