君をひたすら傷つけて
第九章
愛を守る人々
シャワーを浴びてリビングに戻ってきたお兄ちゃんはテーブルに着くと、ニッコリと笑った。急いで出てきたのか、髪はまだ濡れていて、肩にはタオルを置いているし、眼鏡は外したまま。でも、シャワーを浴びてスッキリとした様子だった。
「美味そうだな」
「そんなに時間がなかったから、作り置きとか残り物で悪いけど」
「いいよ。十分すぎる。雅のご飯はホッとする。いつもありがとう。今日も本当に美味しいよ」
そういいながら、お兄ちゃんは手を合わせて食べだした。嬉しそうに食べているのを見るとやっぱり嬉しい。私の料理はまりえから習ったものばかりなので、そんなには不味くはないと思うけど、いつも篠崎さんと一緒に美味しいものを食べているお兄ちゃんの舌は肥えているから、ドキドキはする。
美味しいと思ってくれたらそれで嬉しい。
お兄ちゃんの部屋に居候することになって、料理は私がすることが多い。掃除はリビングとかの共有部分はお兄ちゃんがするし、洗濯は各自。言葉に発することはないけど、家事分担は出来ていて、それが自然になっていた。
「雅に頼みがあるけど」
「何?改まって言われると緊張する」
「神崎を連れて、里桜さんの会社に行ってもらえないか?」
「神崎くん?」
神崎くんはカメラマンで何度か一緒に仕事をしたことがある。ちょっと生意気なところはあるけど、カメラの腕は格段に凄い。確か何かの賞を取っている。
「そう、彼と一緒に里桜さんの会社に行って、里桜さんの写真を撮ってきて欲しい。パスポートの申請に必要なんだ」
「パスポートの写真に神崎くんなんて……」
「海が神崎くんに頼みたいらしい。でも、里桜さんと二人にはさせたくないらしく、雅に言ってもらえないかって」
「美味そうだな」
「そんなに時間がなかったから、作り置きとか残り物で悪いけど」
「いいよ。十分すぎる。雅のご飯はホッとする。いつもありがとう。今日も本当に美味しいよ」
そういいながら、お兄ちゃんは手を合わせて食べだした。嬉しそうに食べているのを見るとやっぱり嬉しい。私の料理はまりえから習ったものばかりなので、そんなには不味くはないと思うけど、いつも篠崎さんと一緒に美味しいものを食べているお兄ちゃんの舌は肥えているから、ドキドキはする。
美味しいと思ってくれたらそれで嬉しい。
お兄ちゃんの部屋に居候することになって、料理は私がすることが多い。掃除はリビングとかの共有部分はお兄ちゃんがするし、洗濯は各自。言葉に発することはないけど、家事分担は出来ていて、それが自然になっていた。
「雅に頼みがあるけど」
「何?改まって言われると緊張する」
「神崎を連れて、里桜さんの会社に行ってもらえないか?」
「神崎くん?」
神崎くんはカメラマンで何度か一緒に仕事をしたことがある。ちょっと生意気なところはあるけど、カメラの腕は格段に凄い。確か何かの賞を取っている。
「そう、彼と一緒に里桜さんの会社に行って、里桜さんの写真を撮ってきて欲しい。パスポートの申請に必要なんだ」
「パスポートの写真に神崎くんなんて……」
「海が神崎くんに頼みたいらしい。でも、里桜さんと二人にはさせたくないらしく、雅に言ってもらえないかって」