君をひたすら傷つけて
電話を切ると、エマがニッコリと笑った。指はカタカタとキーボードを打っているのに、顔だけ私の方を向けている。きっと私の電話の内容を聞いていたのだろう。
「今から行くの?彼のアトリエに……。雅が一人で??」
「うん。電話で話す内容ではないって言われて。雅人にしても篠崎さん関係の人が居たら、断りにくいでしょ。だからじゃないのかな」
「高取さんにだけは阿部さんに会うことを連絡してから行きなさい」
「なんで?」
「社長命令」
確かにエマはこの会社の代表であり、社長ではあるけど、普段は全くそんなことを言わないのに、命令をしてくる。お兄ちゃんに連絡するのは雅人に会って、それでオッケーを貰ってからでいいのではないかと思うけど、エマは事前連絡しろと言う。
「わかった。連絡していく。それと、今日はこのまま帰るから」
「お疲れ様」
頼みに行って断られたらと他のデザイナーを探さないといけないと思う私はお兄ちゃんにメールだけして、雅人に会いに行くことにした。
『里桜ちゃんのドレスの件で阿部さんに会ってきます。帰りは遅くなると思います』
私は事務所の前からタクシーに乗ると、雅人のアトリエに向かって急ぐことにした。電車で行こうかと思ったけど、少しでも早く行けば、待たせなくて済むし、もしかしたら雅人もこの仕事を受けてくれるかもしれないと思ったからだった。
「今から行くの?彼のアトリエに……。雅が一人で??」
「うん。電話で話す内容ではないって言われて。雅人にしても篠崎さん関係の人が居たら、断りにくいでしょ。だからじゃないのかな」
「高取さんにだけは阿部さんに会うことを連絡してから行きなさい」
「なんで?」
「社長命令」
確かにエマはこの会社の代表であり、社長ではあるけど、普段は全くそんなことを言わないのに、命令をしてくる。お兄ちゃんに連絡するのは雅人に会って、それでオッケーを貰ってからでいいのではないかと思うけど、エマは事前連絡しろと言う。
「わかった。連絡していく。それと、今日はこのまま帰るから」
「お疲れ様」
頼みに行って断られたらと他のデザイナーを探さないといけないと思う私はお兄ちゃんにメールだけして、雅人に会いに行くことにした。
『里桜ちゃんのドレスの件で阿部さんに会ってきます。帰りは遅くなると思います』
私は事務所の前からタクシーに乗ると、雅人のアトリエに向かって急ぐことにした。電車で行こうかと思ったけど、少しでも早く行けば、待たせなくて済むし、もしかしたら雅人もこの仕事を受けてくれるかもしれないと思ったからだった。