君をひたすら傷つけて
イタリアへの出発の日はとてもいい天気だった。準備は全て終わっていて、私は簡単な手荷物だけを持って空港に行く。長いフライトだから、気楽な服装にしようかと思ったけど、里桜ちゃんだけならいいけど、里桜ちゃんのご両親もいるということで、私は薄い若草色のパンツスーツを着ていくことにした。このパンツスーツはボトムの部分がふんわりとしていて、締め付けないのがいい。きちんとしているように見えて、身体には楽だった。
部屋を出る前に携帯を見ると、お兄ちゃんからメールが届いていた。
『無事にイタリアに着いたよ。映画祭が終わったら合流になるけど、それまで里桜さんとご両親のことを頼む。雅が里桜さんと一緒にいてくれるから、何も心配せずに仕事が出来る。
それと、ヨーロッパは慣れているとは思うが、充分に気を付けて。何かあれば、すぐに連絡してくれ。同じイタリアにいるのだから、すぐにどうにかするから。フィレンツェで会えるのを楽しみにしているよ』
本当に心配症だと思うけど嬉しかった。
タクシーで空港に行くと、搭乗口の待ち合わせ場所に里桜ちゃんがいるのを見つけた。その横には優しそうな人がいて、一目で里桜ちゃんのご両親だと分かった。
「おはようございます。ちょっと遅かったかしら?」
「まだ約束の時間になってないですよ」
「それならよかった。初めまして、藤堂雅です。この度はイタリアへの旅行をご一緒させていただくことになりました。よろしくお願いします」
私が頭を下げると、優しい微笑みをたたえながら、
「こちらことよろしくお願いします。一緒に行ってくださるだけで安心できます」
そう里桜ちゃんのお母さんが言った。
部屋を出る前に携帯を見ると、お兄ちゃんからメールが届いていた。
『無事にイタリアに着いたよ。映画祭が終わったら合流になるけど、それまで里桜さんとご両親のことを頼む。雅が里桜さんと一緒にいてくれるから、何も心配せずに仕事が出来る。
それと、ヨーロッパは慣れているとは思うが、充分に気を付けて。何かあれば、すぐに連絡してくれ。同じイタリアにいるのだから、すぐにどうにかするから。フィレンツェで会えるのを楽しみにしているよ』
本当に心配症だと思うけど嬉しかった。
タクシーで空港に行くと、搭乗口の待ち合わせ場所に里桜ちゃんがいるのを見つけた。その横には優しそうな人がいて、一目で里桜ちゃんのご両親だと分かった。
「おはようございます。ちょっと遅かったかしら?」
「まだ約束の時間になってないですよ」
「それならよかった。初めまして、藤堂雅です。この度はイタリアへの旅行をご一緒させていただくことになりました。よろしくお願いします」
私が頭を下げると、優しい微笑みをたたえながら、
「こちらことよろしくお願いします。一緒に行ってくださるだけで安心できます」
そう里桜ちゃんのお母さんが言った。