君をひたすら傷つけて
「リズにするって……」
「リズは大喜びで受け入れると思うわ。元々、子どもが好きなのよ。自分が産めないから、雅が産んでくれたら嬉しいと思うわ。リズがリチャードに戻って、雅と結婚すれば、子どもの正式な父親になるでしょ。養子縁組さえすれば、リズの本当の子どもになるし。
リズは世界的に有名なスタイリストだから、お金の心配はないわ。フランスとイタリアと日本を行き来しながら、育てれば、バイリンガルじゃなくてトライリンガルになるでしょ。子どもの教育にはいいと思わない?」
確かにリズなら子どもを産んでも、きっと今までのように守ってくれると思う。きっと、いい父親になってくれると思う。優しいし思いやりもある。本当にいい父親になると思う。母親かもしれないけど……。
でも、一人でいる時間に考えてしまうのはお兄ちゃんのことだった。今、何しているだろうか。マンションには帰って来ているのか。篠崎さんの仕事は順調だけど、無理はしてないだろうか。
でも、今更、そんなこと言えなかった。
あの時、お兄ちゃんは誠実に私に向き合ってくれた。それは同情だったかもしれないし、責任を取るつもりだったかもしれないけど、今はもう時間が過ぎすぎている。
「一人で産んで育てるという選択肢もあるわ」
「そうね。それでもいいけど、将来、子どもに父親のことを聞かれたらどうするの?」
「好きな人の子どもって言うわ」
まりえはクスクスと笑いだした。そして、ふわっと私を抱き寄せた。
「リズは大喜びで受け入れると思うわ。元々、子どもが好きなのよ。自分が産めないから、雅が産んでくれたら嬉しいと思うわ。リズがリチャードに戻って、雅と結婚すれば、子どもの正式な父親になるでしょ。養子縁組さえすれば、リズの本当の子どもになるし。
リズは世界的に有名なスタイリストだから、お金の心配はないわ。フランスとイタリアと日本を行き来しながら、育てれば、バイリンガルじゃなくてトライリンガルになるでしょ。子どもの教育にはいいと思わない?」
確かにリズなら子どもを産んでも、きっと今までのように守ってくれると思う。きっと、いい父親になってくれると思う。優しいし思いやりもある。本当にいい父親になると思う。母親かもしれないけど……。
でも、一人でいる時間に考えてしまうのはお兄ちゃんのことだった。今、何しているだろうか。マンションには帰って来ているのか。篠崎さんの仕事は順調だけど、無理はしてないだろうか。
でも、今更、そんなこと言えなかった。
あの時、お兄ちゃんは誠実に私に向き合ってくれた。それは同情だったかもしれないし、責任を取るつもりだったかもしれないけど、今はもう時間が過ぎすぎている。
「一人で産んで育てるという選択肢もあるわ」
「そうね。それでもいいけど、将来、子どもに父親のことを聞かれたらどうするの?」
「好きな人の子どもって言うわ」
まりえはクスクスと笑いだした。そして、ふわっと私を抱き寄せた。