君をひたすら傷つけて
 まりえと話した三日後、私は郵便を持って出ていた。

 急ぎの提案書を含んだ書類を返送しないといけないので、郵便局から直接郵送することになっていて、書類をクライアントに送ったら、今日の仕事は終わり。少し早いけど、今日はそのまま帰っていいことになっていた。しかし、思ったよりも郵便局は混んでいて、時間が掛かってしまい、結局はいつもと変わらない時間になっていた。

 どこかカフェでお茶でもと思ったけど、そんな時間は無さそうだった。

「遅くなっちゃった」

 日暮れが早く、すでに夕方でも、周りが暗くなり、道路を走る車のライトがポツポツ点きだす。そんな夕暮れを歩いていると、仕事が終わってホッとする。妊娠してから、歩くのが前よりも遅くなってしまい、疲れやすいので、動くのもゆっくりだった。仕事がある時は時間に追われることもあるけど、仕事が終わった今はゆっくり歩くことが出来るので気持ちも楽だった。

 別にまだお腹が出てきたわけでもないけど、それでも身体と心には大きな影響を及ぼしていた。特に、気持ちの揺れは大きく。まりえとこれからのことを話してから、いつまでも逃げていられないと思っていた。

 それは私だけのことではなく、お腹の中の子どものこともあるからだった。

 まりえは高校の時の友達に会うらしく、夜ご飯は要らないので、私はマンションに帰っても一人だった。
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