イケメンすぎてドン引き!
「別に思わねーよ。……言わなかったけど、お前、あいつの元カノに似てるんだよなー」
「はい?」
「たぶんスミスのヤツ、本気でお前のこと落としにかかったんだと思うわ。
そりゃーあいつにマジで迫られたら、俺でもドキッとしそうだし」
聞くと、先輩たちが高1の頃。
スミスさんには長年付き合っていた彼女さんがいた。
見た目は地味だけど、しっかりした性格の素敵な女の子だったらしい。
残念ながら、その彼女さんは、親の都合で海外に引っ越すことになり、
悩んだスミスさんは、彼女がすっきりと新生活を送れるよう、別れを選んだ、とのこと。
スミスさんが女の子と遊び始めたのはそれ以降。
イケメンなスミスさんには色んなジャンルの女子が寄ってくるけど、
よく地味目な女の子の方に手を出してしまうらしい。
で、あたしはその元カノにめちゃくちゃ雰囲気が似ていた、ということ。
「でも……」
「はぁ、そんな固~い考え方してるから、お前彼氏できねーんだろ。ちょっとくらい女の子として男に心開けばいーのに」
そう言って、先輩はあたしに手を伸ばし、軽く頭を撫でた。
一瞬だけ、心がふわっと浮かび上がる感覚がした。
その反動で、ちらっと先輩の顔を見ると、
先輩も再びあたしに視線を向けた。
少し目を腫らしながらも、あたしを優しく見つめてくる先輩はずるい。
――どくん、どくん、どくん。
やばい、また心臓の音が速くなっちゃう。
――どっどっどっどっど。
ぎゃーやっぱり高速モードに突入したー!