イケメンすぎてドン引き!







次の日の朝。



「最悪ー。目が7割しか開かない感じします」



「別にいーだろ。お前どーせもとから目小せーんだし」



「ほっといてください。先輩もまぶた、十分腫れぼったいですよ」



まだ目の腫れが治りきっていないあたしと吉野先輩。


いつもの石畳で一緒になり、そんなことを話しながら学校へ向かっていた。



県道の横断歩道を渡ると、


「あー! モモカちゃんと吉野クンはっけーん」


と、突然、ちゃれぇ大声に名前を呼ばれる。



校門に続く細い路地で、スミスさんが手を振りながら立っていた。



あたしたちのことを待っていたのだろうか。



何となく、先輩の後ろに隠れるあたし。



構わずスミスさんは両手を合わせ、



「ごめん! 昨日は色々と本当にごめんなさいっ!」


と、あたしたちに頭を下げた。



うわーなんて潔い謝りっぷり!



吉野先輩はちらっとあたしを後ろ目で見た後、口を開いた。



「いや、俺こそ混乱してて……昨日は変なこと言ってごめん。でも……」



そう言いながら、先輩はスミスさんに近づいていく。



「もうコイツには手出すなよ」



鳥の泣き声と、車のエンジン音の隙間に聞こえたのは、


怒りの色が混ざった、先輩の低い声だった。



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