イケメンすぎてドン引き!
☆
次の日の朝。
「最悪ー。目が7割しか開かない感じします」
「別にいーだろ。お前どーせもとから目小せーんだし」
「ほっといてください。先輩もまぶた、十分腫れぼったいですよ」
まだ目の腫れが治りきっていないあたしと吉野先輩。
いつもの石畳で一緒になり、そんなことを話しながら学校へ向かっていた。
県道の横断歩道を渡ると、
「あー! モモカちゃんと吉野クンはっけーん」
と、突然、ちゃれぇ大声に名前を呼ばれる。
校門に続く細い路地で、スミスさんが手を振りながら立っていた。
あたしたちのことを待っていたのだろうか。
何となく、先輩の後ろに隠れるあたし。
構わずスミスさんは両手を合わせ、
「ごめん! 昨日は色々と本当にごめんなさいっ!」
と、あたしたちに頭を下げた。
うわーなんて潔い謝りっぷり!
吉野先輩はちらっとあたしを後ろ目で見た後、口を開いた。
「いや、俺こそ混乱してて……昨日は変なこと言ってごめん。でも……」
そう言いながら、先輩はスミスさんに近づいていく。
「もうコイツには手出すなよ」
鳥の泣き声と、車のエンジン音の隙間に聞こえたのは、
怒りの色が混ざった、先輩の低い声だった。