イケメンすぎてドン引き!
『もうコイツには手出すなよ』
手をカタカタと震わせながら、先輩はスミスさんに感情をぶつけてくれた。
昨日、『汚物にさわるなーーー!』って叫んだ姿を見せたことに、泣くほど凹んでたくせに。
あたしはごくりと唾を飲み込み、
「あと。あたしなんかのためじゃないかもしれなかったけど。さっきの嬉しかったです。カッコ良かったです」
と目の前にある先輩の頭に向かって言った。
先輩は少しだけ顔をあげ、うつろな目であたしを見た。
「だって昨日お前、すげー泣いてたから」
え……?
か弱い声で先輩がそうつぶやいた瞬間、
きゅっと胸が締め付けられた。
目の奥がつんと痛くなり、瞳が涙の膜に包まれていく。
あふれないように、一旦まばたきをしてから。
あたしは左手を、肩に乗せられた先輩の手に重ね、
右手を彼の髪の毛に乗せた。
「……ありがとうございます。先輩、よく頑張りました」
そうつぶやいたあたしの声は、ほんの少し揺れていた。
心の中の温泉はドバーッと湧きだし、体中が心地よい温度に包まれていく。