イケメンすぎてドン引き!


これって……敵が増えただけじゃね?


あたしは更なるピンチに陥ったと思い、げっそりしてしまったが――。



「へぇ~、こんな大人数でいじめてるんだぁ。こんなことしてるの吉野クンが知ったらどう思うかなぁ~?」



「いじめじゃないですよ! ちょっとフザけてただけですって。あははは!」



「あははは! でも、実はさっきもうムービー撮ってたし。ほらほら、『吉野先輩に近づくなー』って言いながら、超突き飛ばしてんじゃん」



「え……えっと、ちょっとぶつかっただけですって! ね。オブチさん」



「…………」



あれ? 事態は意外な方へ向かっているぞ。



ケバ女&ゆるふわ女ペアは、スマホ片手に女子たちの前に立ちふさがり、あたしをかばってくれている。



女子たちはお互いの顔を見合わせながら、散り散りに逃げていった。







「あ、あの……何か助けてもらったみたいで。すみません!」



頭の中を混乱させたまま、とりあえず2人に頭を下げておいた。



すると、


「オブチさんっていうんだよね? 大丈夫ぅ~? しかも、こういう時はごめんじゃなくてありがとうでしょ~ぉ?」


と、ゆるふわ女が、茶髪を風にふわっとなびかせながら、甘い声で言う。



え? え? え?



脳みそ内の処理が追いつかない。


もしや、あなた、いいヤツですかーー?



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