イケメンすぎてドン引き!
これって……敵が増えただけじゃね?
あたしは更なるピンチに陥ったと思い、げっそりしてしまったが――。
「へぇ~、こんな大人数でいじめてるんだぁ。こんなことしてるの吉野クンが知ったらどう思うかなぁ~?」
「いじめじゃないですよ! ちょっとフザけてただけですって。あははは!」
「あははは! でも、実はさっきもうムービー撮ってたし。ほらほら、『吉野先輩に近づくなー』って言いながら、超突き飛ばしてんじゃん」
「え……えっと、ちょっとぶつかっただけですって! ね。オブチさん」
「…………」
あれ? 事態は意外な方へ向かっているぞ。
ケバ女&ゆるふわ女ペアは、スマホ片手に女子たちの前に立ちふさがり、あたしをかばってくれている。
女子たちはお互いの顔を見合わせながら、散り散りに逃げていった。
☆
「あ、あの……何か助けてもらったみたいで。すみません!」
頭の中を混乱させたまま、とりあえず2人に頭を下げておいた。
すると、
「オブチさんっていうんだよね? 大丈夫ぅ~? しかも、こういう時はごめんじゃなくてありがとうでしょ~ぉ?」
と、ゆるふわ女が、茶髪を風にふわっとなびかせながら、甘い声で言う。
え? え? え?
脳みそ内の処理が追いつかない。
もしや、あなた、いいヤツですかーー?