イケメンすぎてドン引き!


2人がけのソファー席。


先輩の隣に座ると、ふわっと体が沈み、爽やかな香りに包まれた。



「……っ!?」



急に先輩はあたしのすぐ後ろの背もたれに肘を置く。


びっくりした。肩を後ろから抱かれるような、妙な感覚に陥ってしまった。



……えーと、これ結構近すぎじゃありません?



しかし。


ちらっと先輩を見ると、彼は真剣に『魔女っ子ランデヴー♪』の世界にのめりこんでいるようだ。



はぁ、とため息をつきながら、

あたしもこっそり『ときめき☆スーパー俺様☆王子様』の最新刊を開いた。



「…………」



やべえ。これ超やべぇ。ウホッ!


あたしが、王子様の王子様っぷりに興奮していると。



「えーと、何々? 『お前は黙って俺に抱かれてればいいんだよ』」



「きゃっ!」



突然、漫画の中のセリフが、耳元で囁かれた。



「『何? 言葉だけでもう感じちゃった?』」


「~~っ!!」



耳に息がかかるほどの近さで発される、イケメンボイス。



びくっと体が反応してしまい、どっどっどっど、と心臓が高速のビートを刻み始める。

< 117 / 262 >

この作品をシェア

pagetop