イケメンすぎてドン引き!
☆
「はっ!」
目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
開けられた窓から、部活中らしき生徒たちの声と、湿った風が吹き込んでくる。
ゆっくりと上半身を起こすと、頭が少しクラクラした。
「あれ? ここはどこ? あたしは誰? 何があったの?」
と漫画みたいなセリフをつぶやいてみると……。
「ここ保健室。お前オブチモモカ。体育館裏で殴られて伸びてたからここにいる」
「ほえっ!?」
目の前にいたのは――
腕を組み、怖い顔であたしを見下ろしている、
吉野先輩だった。
「お前いつまで寝てるんだよ。……一応病院行くぞ」
窓からの風に髪の毛をそよそよとなびかせながら、彼はあたしをにらみつけた。
☆
「とりあえず大丈夫です。それよりも貧血気味らしくて。今日は安静にしろとのことでした」
「ならいーわ。……帰るぞ」
先輩は鋭い目線のまま。
あれ? 何で機嫌悪いんですか?
先を歩く先輩の背中を追って、病院を出ると、
すでにあたりは薄暗くなっていて、一番星がキラリと光っていた。
先輩は時々あたしを振り返り、歩調を合わせてくれている。