イケメンすぎてドン引き!
「わーーー! あの節は本当にすみませんでした!」
「別にいいし。ただ、俺だって昔っからイケメンきどってるわけじゃないってこと。
……お前が思うよりも、たぶん俺上手く生きれてねーよ」
先輩は、普段は上手くイケメンキャラをやっている。
頭もいいし、運動もできるし、見た目もスタイルもめちゃくちゃ良い。
もともと、あたしみたいな庶民には手の届かない、
全てにおいて恵まれた王子様だと思っていた。
でも、本性は口悪くて、でも時々素直で、でもちょっと俺様な感じ。
そう思いきや、1人反省会やら、凹みモードやら、めんどくさいとこもあって。
確かにすげーこじれた性格してるよな。
「あはは、もう知ってるし」
と言って、あたしが笑うと、
「だからいちいちうるせーんだよお前は。……ま、そーゆーとこ嫌いじゃないけど」
と、先輩は寝っ転がったまま、あたしに視線を向けて微笑んだ。
その目は二重のラインを残したまま細められ、頬は赤く染まっている。
その表情、その仕草に、
きゅーんと胸が締め付けられる。
改めて考えると、すごく嬉しい。
先輩があたしに心を許してくれている感じとか。
あまり知られたくなかった(らしい)過去を教えてくれたこととか。
そう思っていると、先輩はあたしに手を伸ばし、制服シャツの裾を軽く握った。
「ん?」と声を出しながらベッドに乗っかると、もう一度先輩につんとシャツを引っ張られる。
自然と体が彼の方へと向かってしまう。
心臓はもちろん超高速モードに突入しているんだけど、
先輩の表情をもっと見たくて、あたしも横になった。
体を向けるだけで先輩にくっつきそうになる。
そのシングルベッドはほどよい柔らかさで、とても居心地が良かった。