イケメンすぎてドン引き!
「せ、先輩が良かったら夏休みも時々会いたいです! ……勉強で忙しいかもしれないけど」
視線だけをグレーのシーツに落としながら、
あたしは懸命に言葉を発した。
同時に、上手く息ができないほどの不安な気持ちが訪れる。
ぎゅっと手元のシーツを握りしめる。
きっと、だめだよね。
先輩、受験生だし忙しいだろうし。
あたしなんかに構ってくれるわけないよ。
恐る恐る先輩を見る。
「…………」
彼は唇をきゅっととじたまま、しばらく黙っていた。
やばい、困らせちゃったかも……。
撤回した方がいいかなと思い、目をぎゅっとつぶった時。
「いいよ」
と穏やかなトーンのイケボが聞こえてきた。
「いよっしゃ! ありがとうございます!」
嬉しさと安心のあまり、
宝くじが当たったかのような喜びを表現してしまった。恥ずかしい……。
「だからこの前、数学必死でやらせたんだし」
「そうなんですか? でもさっき再テスト合格したこと伝えた時、めちゃくちゃ反応薄かったですよね?」
「うるせーな。たまには格好つけさせろよ」
再び頬を赤くしながら、いじけた口調になる先輩。
やば。可愛い……。
すげーきゅんきゅんするんだけど!
「なにそれー! 元・角刈り腹ポチャダサメガネのくせに!」
照れを隠すためにも、彼に今ダメージを与えられる言葉をわざと発してしまっていた。
「てめぇ……」
聞こえたのは、先輩の低い声と、
ベッドが軋む音と、シーツと彼の制服がこすれる音。
ぎゃーやっぱり怒らせちゃった!?