イケメンすぎてドン引き!



「せ、先輩が良かったら夏休みも時々会いたいです! ……勉強で忙しいかもしれないけど」



視線だけをグレーのシーツに落としながら、

あたしは懸命に言葉を発した。



同時に、上手く息ができないほどの不安な気持ちが訪れる。



ぎゅっと手元のシーツを握りしめる。



きっと、だめだよね。


先輩、受験生だし忙しいだろうし。


あたしなんかに構ってくれるわけないよ。



恐る恐る先輩を見る。



「…………」



彼は唇をきゅっととじたまま、しばらく黙っていた。



やばい、困らせちゃったかも……。



撤回した方がいいかなと思い、目をぎゅっとつぶった時。



「いいよ」


と穏やかなトーンのイケボが聞こえてきた。



「いよっしゃ! ありがとうございます!」



嬉しさと安心のあまり、

宝くじが当たったかのような喜びを表現してしまった。恥ずかしい……。



「だからこの前、数学必死でやらせたんだし」



「そうなんですか? でもさっき再テスト合格したこと伝えた時、めちゃくちゃ反応薄かったですよね?」



「うるせーな。たまには格好つけさせろよ」



再び頬を赤くしながら、いじけた口調になる先輩。



やば。可愛い……。


すげーきゅんきゅんするんだけど!



「なにそれー! 元・角刈り腹ポチャダサメガネのくせに!」



照れを隠すためにも、彼に今ダメージを与えられる言葉をわざと発してしまっていた。



「てめぇ……」



聞こえたのは、先輩の低い声と、

ベッドが軋む音と、シーツと彼の制服がこすれる音。



ぎゃーやっぱり怒らせちゃった!?




< 200 / 262 >

この作品をシェア

pagetop