イケメンすぎてドン引き!
そういえば。中学のテニス部時代。
時々、誰かがボールをかっ飛ばして、隣のプールにインすることがあった。
『すみませーん、ボール投げてもらっていいですかー?』
何度かプールにいる水泳部にそう声をかけた記憶がある。
『はーい! いきまーす』
確かプールのフェンス、割と高かったから、よく男の子が投げてくれてたっけ。
『あ、ありがとうございますっ!』
男子の上半身はだかとか見るの恥ずかしいから、その方向はあまり見ないようにしていた。
水泳部とのかかわりは、時々ミーちゃんと一緒に帰っていたくらい。
でもその投げてくれたボールの軌道は記憶に残っている。
ソフトテニスの黄ばんだボールが、高く舞い上がり、
太陽のまぶしさと一体化して消えたと思ったら、
ふっと再び姿を現して、ちょうどあたしがラケットで受け取れる場所に落ちてくる。
同じ人が投げてくれていたのか、いつも一定のルート。
あ……それを目で追う途中、フェンスの奥。
そのボールを投げてくれたらしい男の子の姿が一瞬見えたことがあったっけ。
もしかして、あれ。ノリ坊だったのかな。
本当にあたしのこと、見てくれていたんだ……。