イケメンすぎてドン引き!
どき、どき、どき。
さっきのノリ坊のつぶやきは、彼の心の叫びだったのかもしれない。
嬉しかった。あたしのことなんて誰も見てないって思ってたから。
彼からの告白に胸がときめいたのは事実だ。
さっき腕をつかまれ、弱々しく額をあたしの肩に乗せられた感覚も、確かなものだった。
こんなショボいあたしを見てくれていたことが、泣けるほどに嬉しい。
ぶっちゃけて言うと、生きてて良かった、とまで思えてしまうほど。
でも、胸が痛い。痛いよ……。
ノリ坊の気持ちに応えたいという思いはあるけれど、
本気で彼が告白してくれた分、あたしだって自分の本当の気持ちに正直にならなければいけないのだと思う。
『彼女になって』
昨日の先輩の言葉、表情や感触は、目を閉じればすぐに思い出される。
でも本当かどうか信じられなくて、
心のどこかでは、あれはただの夢だったのかもしれないとも思ってしまう。
だって先輩、いっつもあたしのこと、
お前、可愛くねーって言うじゃん。
でも、ぎゅっとしてくれたり、頭を撫でてくれたり、時々甘い表情したりで。
あーーーー何なのさ!?
本当にずるい! 訳わかんない!
とりあえず帰ろうと思い、足元の砂利を引きずったが――。
ふと、校舎近くにある花壇の奥に人の気配を感じた。
あたしは反射的にそこへ目を向ける。
その距離は5メートルくらい。
すると、オレンジや黄色のマリーゴールドの奥、よく知っている目と視線が重なった。