イケメンすぎてドン引き!
「す、すみません! 5月は……っ、体育祭に向けて」
負けずに発表を続けようとしたが――。
「ぎゃははー! あの顔まじウケるし! 超ブサイクじゃね?」
「さっさと発表してくださーい! おめーのせいで長引いてるんだよ!」
先生たちが「こら、静かに!」と怒りだすほど、ざわついた声たちの間から、あたしへの罵声が飛び出してきた。
生徒たちの列の奥、ミーちゃんやヒロキ氏がおろおろとまわりを制そうとしている姿が見えた。
ユカリーヌ、花子も2年生の列に向かって注意をしてくれている。
「……っ」
あたしの声以上に体育館内が騒がしくなってしまい、次の言葉が出てこない。
生徒たちのヒソヒソ声や笑い声が、天井に反響して、暑さと一緒に体をむしばんでいくノイズに変わっていく。
「あんなのが吉野先輩に付きまとってたの?」
「うわー先輩、可愛そう~。すげー迷惑してんじゃね?」
「ぶっちゃけあんま可愛くねーじゃん」
さっきとは違う、恥ずかしさや苦しさによる涙が出てきてしまっていた。
……今、先輩とのことは関係ないじゃん。
だけど――
ほっといて。
1人にさせて。
昨日、先輩から冷たく投げられた言葉を思い出す。
かろうじて保っていた心がぽきりと折れてしまいそう。
「体育祭……に向けてっ、グラウンドの、草むしりをっゲホゲホッ! ゲホッ」
早く発表を終わらせようと、無理やり言葉を発すると、咳がでて止まらなくなってしまった。
心配そうな目であたしを見てくれていた生徒たちも、ぷっと笑いをこらえた表情になっていた。
「あはは、何アレ。まじウケるー!」
「汚ね~! やっぱりあいつ汚物じゃん」
逃げたいけど、発表はまだ終わっていない。
でも、苦しい。
もう嫌だよ……。