イケメンすぎてドン引き!


気がつくと、先輩に熱いまなざしで見つめられていた。



やばい、体がどんどん熱されていく。



顔もたぶん真っ赤だろうし、

息も上手くできないくらいにどどどどど! と鼓動が速くなっている。



「み、見すぎですから!」



視線を左右にそらしながら、必死にそう伝えたけど。



「前から思ってたけど。お前のその顔、すげー可愛いから」



「え……ちょ、待って。んっ」



先輩はさっきよりも深く、あたしに唇を重ねた。



体が全部とろけてしまいそうで、ぎゅっと彼の白シャツをにぎっていた。


すると、軽く唇を離した後、もう一度、優しく触れるキスをしてくれた。



「…………」



ドキドキしすぎて表情が作れなくなっているあたしを幸せそうな顔で、見つめてくれる。



和らげられた二重の目、高めの鼻に、ちょっと薄めのきれいな唇。


きれいに浮き出たのどぼとけに、後ろ髪が絡みつく男の子らしい首筋。



まばらに日光が射しこみ、明るい茶色に透けた髪の毛がキラキラと光っている。



あーーーー! 何これ!



本当、ドン引きするくらいのイケメンじゃないですか!



……まあ、中身はちょっとめんどくさいけど。



キャラ作るのに疲れたり、下手こいたり、


イケメンイメージが崩れて、がっかりされたり、悪く言われることがあっても、もう大丈夫。



嫌なことや苦しいことがあっても、


2人で一緒にいたら、ぎゃーぎゃー言い合いをしながらも楽しい毎日を送っていける。



あたしはあたしのまま、先輩も先輩のままで、存在していけるのだ。



――吉野先輩、大好きだよ。





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