イケメンすぎてドン引き!
「確かに汚泥にまみれたローファーをぶつけたのは悪かったです! ほんっとーにサーセンっしたぁ! でも先輩も結構な粘着質ですよね! いちいちそれを引きずって、あたしのこと汚物汚物ってパシリにしやがって。ちょっとでも先輩を格好良いなんて思ったあたしがバカでした!
先輩ってどうせ今までチヤホヤされて人生イージーモードでやってきたんでしょ? どうせあたしなんかよりレベルの高い美女はべらせて毎日ヨロシクやってんでしょ? んで、ちょっとそれに飽きたら、あたしみたいなゾウリムシ捕まえて、棒でつんつんする等、いじめるようなことしてストレス発散するってことですか!? はいはいワロスワロス」
ぜー、ぜー。
イライラと息切れが止まらない。
「あと、汚物って呼ぶのやめて頂けませんか? あたし小学生の頃、男子たちにそうバカにされて嫌な思いしたことあるんです! しかも、その男子たちはだいたいイケメンにご成長されて、モテモテな日々を送っているそうで、それにも腹立ててるんです!
あーもういい! うらやましいぜこんちくしょー! あたしだってモテたいよ! 彼氏欲しいよ! 所詮少女漫画のような世界なんて美男美女の間にしか成立しないんでしょ? イケメンや美女なんてまじF××KでまじShitだーーーー!」
「…………」
先輩は、オレンジ色に照らされたまま、目を点にしてつったっていた。
それはまるで歴史の教科書(ルネサンス時代あたり)に出てくる美しき石像に、
うちの高校の制服を着せたものかのよう。
カァー、カアァー、と遠くからカラスの泣き声が聞こえる。
それと同時にあたしは我にかえった。
ああああああ!
あたしは、
あたしは……
何てことを言ってしまったんだーーー!!!