イケメンすぎてドン引き!
先輩に文句を言うつもりが、あたしの16年半の人生で、つもり積もったイライラを全て放出してしまったようだ。
しかも内容はほとんどがひがみと八つ当たり。
あわあわ、どうしよう……!
「こんなあたしなんか、どう見ても汚物です! 本当にありがとうございました!」
仕方がないのであたしはそう叫び、先輩の前から逃げた。
(謝るつもりが、テンパってなぜか感謝を伝えてしまうという失態……)
あたしはここをちょいと進んでちょいと曲がると家に着く。
靴が脱げそうなほどのダッシュで、一目散に家へ向かった。
……正直に申し上げますと、
あたしだって夢見る女の子ですから、
そりゃあ先輩みたいな超イケメンと一度くらい恋してみたいんですよ。
本当は少女マンガのような恋に憧れているんですよ。
でもそんなの、マッチをこすって幻覚を見るレベルの夢物語なんてことは、もう知っている。
相手はイケメンじゃなくていいから、あたしも人並みに素敵な恋愛がしたいのだ。
やばい、泣きそう――。
こんな醜くてクズでゲスで汚物なあたしなんか、
絶対に誰も好きになってくれないよな。
帰り道、下唇を噛みすぎたようで、じんじんと口元が痛んだ。