イケメンすぎてドン引き!







「その……俺は客観的に見て、おそらくイケメンのたぐいだと思われますが。それは見た目や表面的な意味であって」


「えぇ」



鳥居をくぐって、境内にある石のベンチに、2人で腰をかけた。



この先にある本殿はそれほど大きくはない。


今、この境内にいるのはあたしたちだけのようだ。



「オブチさんはお気づきかと思いますが、俺、本当は相当なしょーもないヤロウなんです。

毎日イケメンオーラを振りまきまくるのは、結構大変なんです」



「えぇ」



さっきの石畳の道よりもここの方が桜の本数が多い。


あたしはところどころに見えるピンク色を背景に、ぼそぼそと喋る先輩を見つめた。



「だから毎晩、無意識のうちにその日一日を振り返る反省会をしてしまうんです。

今日はちゃんと皆と喋れたかな。嫌われるような、がっかりされるようなことしてないかなーって」



「へぇ」



あたしは、「えぇ」と相槌をしようとしたが、

ミスって「へぇ」と間の抜けた声を口にしてしまい、1人で恥ずかしい思いをしてしまった。



先輩の目を盗んで腕時計をチラ見すると、

もうHR前の朝自習が始まっている時間だった。


あ、やば。今日1時間目、体育じゃん!



そろそろ解放してくれないかな……。



しかも、何だこれは。


ぐっだぐっだした内容をうっじうっじと語りやがって。



あたしの足裏は、一定のリズムでビートを刻んでしまっていた。



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