イケメンすぎてドン引き!
☆
「その……俺は客観的に見て、おそらくイケメンのたぐいだと思われますが。それは見た目や表面的な意味であって」
「えぇ」
鳥居をくぐって、境内にある石のベンチに、2人で腰をかけた。
この先にある本殿はそれほど大きくはない。
今、この境内にいるのはあたしたちだけのようだ。
「オブチさんはお気づきかと思いますが、俺、本当は相当なしょーもないヤロウなんです。
毎日イケメンオーラを振りまきまくるのは、結構大変なんです」
「えぇ」
さっきの石畳の道よりもここの方が桜の本数が多い。
あたしはところどころに見えるピンク色を背景に、ぼそぼそと喋る先輩を見つめた。
「だから毎晩、無意識のうちにその日一日を振り返る反省会をしてしまうんです。
今日はちゃんと皆と喋れたかな。嫌われるような、がっかりされるようなことしてないかなーって」
「へぇ」
あたしは、「えぇ」と相槌をしようとしたが、
ミスって「へぇ」と間の抜けた声を口にしてしまい、1人で恥ずかしい思いをしてしまった。
先輩の目を盗んで腕時計をチラ見すると、
もうHR前の朝自習が始まっている時間だった。
あ、やば。今日1時間目、体育じゃん!
そろそろ解放してくれないかな……。
しかも、何だこれは。
ぐっだぐっだした内容をうっじうっじと語りやがって。
あたしの足裏は、一定のリズムでビートを刻んでしまっていた。