イケメンすぎてドン引き!
「くっさい靴をぶつけてくるようなお前になら、猫かぶんなくてもいいやと思って、本性のままに接していたら、それがすげー楽しくて」
「……へっ?」
突然、先輩はあたしの手を両手で握り締め、捨てられた子犬のような目でそう語り始めた。
「俺、さっきも言ったとおり、イケメンって思ってくれてる皆の期待を裏切らないように頑張ってきたんだけど、やっぱりどこか本音で話せる友達が欲しくてさー。
今そういう存在、俺の妹くらいしかいないし……」
その整いすぎた顔が、段々とあたしに近づいてくる。
あたしは自分の鼓動が再び早くなることを感じた。
いやいやいや、これはただのイケメンマジック!
「ね、オブチさん、ダメかな?」
うわーめっちゃ目キラキラしてるー。
すげー期待されてるよ。コレ。
「……分かりました! あ、あたしでよければ、べ、別に友達になってもいいですよ?」
ぷいっ、と目をそらしながら、あたしはそう答えておいた。
突然の展開にテンパり、言葉もカミカミになってしまう。
そんなあたしに構わず先輩は、
「オブチさんありがと! すげー嬉しい」
と言って、あたしの頭にぽんっと手を置いた。
――ド、ドキッ!
急にまぶしすぎる笑顔を向けられたことと、
男の子にあまりされたことがないためか、
ただ頭に手を乗せられただけなのに、体が固まってしまう。