blue spring
「じゃ、じゃーね!」
芹花はまた逃げた。
優真も今日こそはと、彼女のあとを密かに追いかけたが、
話の最初で、先生にも負けない走りを見せた彼女は、足が早いだけでなく、人並みはずれた身体能力と頑丈な体でできていて、
ようするに、アラレちゃんが人間になっちゃったみたいな子だ。
追いつけるはずもなかったのだが、その日は運良く追いつけた。
それとも、芹花の運が悪かったのかもしれない。
芹花は小学生の子供達を生垣からおろしているところだった。
子供達からは大反発、
足元を蹴られたり殴られたりとされていたが動じることはなく子供をおろし終えると、
リュックからお面を取り出し顔に付けるとまた、なにか棒を取り出し、
子供達の方を向くと子供達は、悲鳴をあげて逃げていった。
優真からは何を取り出したのかちゃんと見えず目をこらしたが、
なにか最終的にわからなかった。
芹花は取り出した二つの物をリュックに直すと生垣の中を探った。
すると、生垣と生垣の間が開いた。
優真はびっくりしてぅわっ!!!と
叫びそうになったが最初のう!だけ少し叫んでしまい、
芹花がこちらに振り向いた。
優真はちゃんと隠れ直してもう一度覗くと、芹花の姿はなかった。