blue spring
芹花のお母さんは意地の悪い事を聞いてしまったな、と普通の家よりかは大きい庭を散歩することにした。
すると、芹哉が帰ってきた。
「佳子。ただいま。」
「おかえり、芹哉さん。」
「どうした?優真くんが帰ってからずっと庭を散歩しているそうじゃないか。」
佳子は何も答えなかった。
芹哉はため息をついた。
「今日もお仕事お疲れ様。」
「え?あぁ。」
そのあと池の近くに座り込み二人で鯉を見ていた。
「芹花に聞いたよ。高校の事でからかったそうだね。」
また何も答えなかった。
「今となっては芹花は嫌だろうね。」
佳子は何も答えないのでそのまま続けた。
「あの子の幸せを考えたら彼と一緒に同じ高校に行くのもいいかもしれないが、うちの将来を考えると、下界と離れた世界で生きてもらわないと困るんだよ。」
「あなたも芹花の生きたいように行かせたいと本当は思ってたのね。」
急に口を開いて何を言っているのか分からなかった芹哉はどういうこと?と言う顔で見つめると、
「最初の一声があの子の事だったわ。あなたは一番にしたい事、心配な事を最初に話すもの。」
と鯉を見つめながら言った。
「あの子も優しい子よ、きっと私達が言った道を歩こうとするんだわ。」
「でも、そうしてくれないと社員が路頭に迷ってしまうからね。」
そういう話をしていると、後ろから孝義が
「御夕食が出来ました。」
と言った。
芹哉は返事をすると先に立ちあがり、佳子をエスコートして中に入っていった。