blue spring
「俺じゃぁ、3回走ることになるから、反則になるから誰かやってほしい!」
誰も自分が走っていいと言うものはいなかった。
優真が残念そうにため息をついた、その姿を見て芹花はとんでもない行動をとってしまった。
そう、手をあげてしまったのだ。
「芹花…、走ってくれるのか?」
「こんな時にしか役に立たないでしょ?」
「けど!お前2番に走るだろ?」
違う男子がそう叫ぶと芹花は落ち着いて
「連続で走るのは反則じゃないし、ただ本人がとてもしんどいってだけの話だから私が一番と二番を走る。」
と優真を見据えて言うと、優真は仕方ない、と言った顔でクスッと笑った。
「よし!じゃぁ芹花でいいな!みんな!!」
クラスの人みんながうん!と叫んだ。
そして、女子は芹花に頑張ってね!と言って日影に行ってしまった。
「芹花、あの、俺、この前は変な態度とって悪かった。」
「え?」
「いや、俺が、その、芹花が嫌な思いをしてないならよかったんだけど、その、本当になんとも思ってなさそうで、ちょっと、嫌だなぁってちょっと思っただけだから!!!」
優真は言い終わると走り去ってしまった。
芹花は優真の言った内容を思い返してみると、ひとつの答えが生まれた。
それは、ヤキモチなのではないかと。
だが、芹花は考え過ぎか、と気にせずに次の種目の用意に向かった。
その時の足取りは軽やかだった。