blue spring
そして、クラス代表リレーの時が来た。
みんな芹花がこんな大役をしているのに驚いているようだった。
優真はスタートの合図まで芹花なら絶対一番とれるぞ!!!とはしゃいでいたのか応援されていたのかわからなかったが、一応微笑んでおいた。
「位置について!用意!!」
その言葉でそこ一帯が静まりかえった。
軽快なぱぁーんっ!と言う音でみんなが走り始めると、芹花はスタートダッシュに乗り遅れた。
その瞬間競争好きな男子がだめだ〜!と残念がっていたが、その声を聞いた芹花はムキになってスピードを先生に追いかけられているときよりももっと早くしてみた。
すると一番を走っていた陸上部の男子を芹花は余裕で追い抜かし2週目に入った。
クラスの子達の歓喜の声が芹花にも伝わってまた速度をあげていき三番手の陸上部の子にバトンが渡された。
芹花は渡し終えて歩いてから座ろうと体勢を崩そうとしたら優真が体を支えた。
芹花はそのまま体を崩していった。
「芹花!すごいぞ!!!一位だ!一位!!!」
芹花は疲れきって何も話せずふふと笑った。
誰かが
「次の走者、灰藤優真!並べ!!」
と叫んでいるのが聞こえた。
「うわ、俺の番だ!芹花の頑張り無駄にしないからな!!!」
とらしくないことを言って列に並びに行った。
芹花はそのあと自分のクラスの列に並びに行った。
すると、みんなから
「長通さん!マジ!かっこよかった!!!」
など、
「長通さん!!!すごい速かったね!」
と色々声をかけてもらった。
これまでに味わったことの無い事に芹花は頬が緩むのを我慢することは出来なかった。
うちのクラスは堂々の一位だった。
優真は芹花に駆け寄り、抱きつこうとしたが寸でのところで止めた。
芹花はそのことに気づいていなさそうだった。
そして、そこから勝ち星が並びうちの赤組は勝利を勝ち取った。
「長通さん、勝利の女神だったわ〜、俺惚れるわ。」
「芹花ちゃんほんとに神!!走ってる姿ほんとにかっこよかった!!!」
男子も女子も芹花のリレーの事をずっと語っているので芹花は恥ずかしそうにそっぽを向いて、窓を開けて夕日を見ていた。